まず、前立腺という臓器をご説明しておきましょう。
前立腺は、男性にのみ存在する器官で、膀胱の直下に存在し、尿道を取り巻くように存在します。通常クルミ位の大きさで重さ10〜15gで、精液の一部である前立腺液を作る役割を果たしています。
アメリカを始めとする欧米諸国では、約10数年前から男性の癌の中で死亡率は肺癌についで第2位、発生率では第1位となっています。
日本では、欧米に比べるとまだ少ないのですが、増加率では他の癌に比べて圧倒的に多く、将来的には欧米諸国なみに増加するであろうといわれています。
高齢者に多い癌ですが、50歳を超えたら注意が必要です。
はじめのうちはこれといった自覚症状はありません。
前立腺癌とよく比較される病気に、前立腺肥大症というのがあります。
高齢者でおしっこの勢いが悪くなったとか、夜何度もトイレに起きるようになったなどの症状が現れたら、通常、前立腺肥大症という病気のことが多いのですが、その中に15から20人に1人位の割合で前立腺癌が隠れていることがあります。
前立腺肥大症は前立腺の内側の部分から発生するため尿道を圧迫しやすく、比較的症状が出やすいのに対して、前立腺癌は前立腺の外側の部分から発生するために、排尿困難などの症状が出にくいといえます。
しかしながら、このような症状がみられたら、泌尿器科で1度検査を受けられることをおすすめします。
残念ながらこれといった予防法はありませんが、危険因子の1つと動物性脂肪の過剰摂取が挙げられます。動物性脂肪を多く摂取する欧米人に多く、一方緑黄色野菜を多く食べる人には少ないといわれています。
同じ日本人でも、ハワイやロサンゼルス在住の日本人の前立腺癌罹患率は、約3倍と報告されています。
しかし、前立腺癌に特有ということではありません。予防という言い方は適切でないかも知れませんが、できるだけ早い段階で発見することが大切といえるでしょう。
早期発見に有用な検査として、採血による前立腺の腫瘍マーカーであるPSAの測定、泌尿器科医による直腸内触診、前立腺超音波検査がありますが、早期発見に最も有用なのは腫瘍マーカーPSAの測定です。これにより、80〜90%の確率で癌をみつけることができます。
50歳を過ぎたら年に1回PSA検査および専門医による直腸診を受けられることをおすすめします。
PSA値が上昇していたり、直腸内触診で異常を指摘されたら、確定診断のため前立腺生検といって、直腸から前立腺に針を刺して組織の一部を採取して病理学的検査を行い、癌組織がないかどうかの確認をします。
PSAの値が4〜10ですと20%、10を超えると癌の確率が次第に高くなり、30以上ですと95%くらいの確率で癌がみつかります。
組織学的に前立腺癌が確認されたら、CT、MRI、骨シンチといった画像診断を行い多臓器への転移がないかなどのチェックします。